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電子カルテ認証制度の要件|院長がすべき3つの確認
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#電子カルテ#医療DX#クリニック経営

電子カルテ認証制度の要件|院長がすべき3つの確認

電子カルテの認証制度で認証されるのはベンダーの製品で、医療機関の申請は求められていません。検討段階の資料が示す要件(カスタマイズ不可・国内保管・価格公開)と、2026年9月の要綱公開から2027年4月までの日程を院長向けに整理します。

電子カルテ認証制度の対象がベンダー製品であり医療機関の申請は求められていないことと、機能要件から価格公開までの要件を1枚にまとめた整理図

「電子カルテの認証制度が始まる」と聞くと、自院でも手続きが必要かと身構えるかもしれません。厚生労働省が2026年6月26日の医療等情報利活用ワーキンググループに示した資料を読む限り、認証を受けるのはベンダーの製品であり、医療機関側の申請や届出の手続きは示されていません。

では何が起きるのか。変化が出るのは、次にカルテを入れ替えるときです。要件にはカスタマイズへの非対応・データの国内保管・価格の公開が並び、次の更新で選べる製品の性質が変わっていく方向が示されています。

「電子カルテは義務化されたのか」という論点は電子カルテ義務化の実像で扱っています。本記事は認証制度の中身に絞ります。

結論:院長がやることは3つだけ

院長がいま必要なのは、次の更新時期の確認、自院のカスタマイズの棚卸し、ベンダーへの方針確認の3つだけです。申請も届出も発生しません。制度の日程より先に来るのは、たいてい自院の保守満了の日付です。

  • 次の更新時期を年月で書き出すカルテとレセコンの保守満了・サポート終了の年月。制度の日程と自院の期限のどちらが先かを見る
  • 現行のカスタマイズを棚卸しする独自帳票・入力テンプレート・部門連携を一覧化する。認証要件には製品側にカスタマイズ非対応を求める項目がある
  • ベンダーに方針を1度だけ聞く認証を取得する方針か、費用負担はどうなるか。「未定」でも記録に残せば見積り交渉の材料になる

この3つはどう決着しても無駄になりません。逆に、認証の有無を今から選定の必須条件にするのは早すぎます。要件自体が「検討のたたき台」の段階です。

※ 本記事は2026年7月29日時点の公表資料に基づきます。内容は変わる可能性があるため、判断時に最新の資料を確認してください。

認証されるのは製品、医療機関の申請はない

認証を行うのは厚生労働省で、対象はベンダーの電子カルテ製品と想定されています。資料には「標準仕様に準拠した電子カルテについては、今後、厚生労働省が認証を行うことを想定」と記載されています。医療機関側の申請・届出を求める記載はありません。

要件を示したスライドにはいずれも「認証制度のイメージ(検討のたたき台)」と見出しが付いています。つまりまだ確定した制度ではありません。

認証の要件を1表で確認する

要件は機能・可用性・セキュリティ・データ保管・クラウドネイティブ・情報公開の6区分で、すべてベンダーが満たす項目です。院長が読むべきは自院に跳ね返る部分だけです。以下は第33回 医療等情報利活用ワーキンググループ資料3「電子カルテの普及について」の遵守項目に含意を添えた整理です。

要件の区分 示された内容 院長にとっての意味
機能要件 資格確認・電子処方箋・電子カルテ情報共有サービス・クラウド型レセコンとの接続(電子処方箋と情報共有サービスは経過措置あり) 国の医療DXにつながる製品が前提。経過措置は「クラウド間連携が実現してから一定期間内での実装」を前提とし、年数は示されていない
可用性 稼働率の実績が99.9%以上 保証値ではなく実績の要件
セキュリティ ISMAP、またはISMS認証+ISMSクラウドセキュリティ認証。ペネトレーションテストと脆弱性対策 どちらか一方でよい選択制
データ保管・バックアップ 三原則(真正性・保存性・見読性)の担保、データを日本国内で保持し海外に送信されない設定、隔離した別環境か外部メディアへ定期バックアップ 保管国とバックアップ構成を質問に落とせる
クラウドネイティブ ガバメントクラウド対象サービス上のSaaS型・マルチテナント、個々のカスタマイズに対応不可能な仕様 院ごとの作り込みを前提としない製品になる
システム連携・データ移行 次版以降において設定予定 移行条件は未設定。ただしオンプレ型からの移行用に「共通データ移行レイアウト例」を参考として示すとされている
情報提供・公開 ベンダー自身のWebサイトで価格(オプション機能を含む)を公開済であること 価格を見てから問い合わせる比較ができる

※ ガバメントクラウドを利用する場合、セキュリティ要件①-③とクラウドネイティブ要件は適合しているものとする、との注記があります。

院長に効くのは「カスタマイズ不可」「国内保管」「価格公開」

自院の実務に跳ね返るのはカスタマイズ不可・国内保管・価格公開の3つです。残りはベンダー側の技術・運用体制の話で、院内の業務は変わりません。

まずカスタマイズです。要件は「個々のカスタマイズに対応不可能な仕様とすること」。これは製品側の仕様を求める要件で、医療機関に何かを禁じるものではありません。ただし含意は実務的で、長く使ってきた独自帳票を前提に更新先を探すと候補が合わなくなる可能性があります。

次に国内保管です。「データを日本国内で保持すること」が要件に入るため、保管国は比較項目として明確に聞ける論点になりました。

3つ目の価格公開は、院長に最も効く変化です。法令上の義務ではなく認証の要件という位置づけですが、公開されていれば見積り依頼の前に候補を絞れます。今回の資料では小売価格に加え、サイバーセキュリティ対策チェックリストや問い合わせの一次回答時間(直近3か月平均)の開示まで具体化されました。

  • カスタマイズ不可は「製品側の仕様要件」院内の運用を禁じるものではない。独自帳票や部門連携が多い院は棚卸しで候補選びが早くなる
  • 国内保管とバックアップは質問に落とせる保管国はどこか、バックアップは隔離された別環境か外部メディアか、頻度はどれくらいか
  • 価格公開ページの有無が比較の入口オプションまで公開されているか。非公開の製品を外す必要はないが、見積りを揃える手間は増える

オンプレ型の院:次の更改でクラウドへ、が方針

資料のスケジュール図には「次回システム更改時に、標準仕様に準拠したクラウド型システムに移行」と記載されていますが、期限も義務も罰則も示されていません。更改期が来ていない院が乗り換えを急ぐ理由は、資料からは読み取れません。

診療所は約10.5万施設のうち導入済が57,662施設、未導入が47,232施設(約45%が未導入)です。導入済みの多くはオンプレミス型で、なかでもカスタマイズしている製品からクラウドネイティブで廉価な製品への移行を図る、というのが上記の方針です。

診療所約10.5万施設のうち電子カルテ導入済57,662施設・未導入47,232施設という内訳と、オンプレミス型は次回更改時にクラウド型へ移行する方針を示した図
自院の状況 いま確認すること 急ぐ必要があるか
紙カルテを継続している レセコンの保守満了と承継の予定。標準型電子カルテ(導入版)は完成が2026年度中目途とされるが、提供時期と費用は記載がない × 急ぐ理由は資料に示されていない
オンプレミス型を使用中で更改期が近い 保守満了とサポート終了の年月、クラウド型へ移行する場合の費用と作業分担 更改は元々発生する。比較の準備を始める時期
クラウド型を導入済み 稼働率の実績値、データの保管国、価格公開ページの有無 次回の契約更新時に確認すれば足りる

なお標準型電子カルテ(導入版)はデジタル庁が開発中の医科無床診療所向けのシステムで、「2026年度中目途の完成を目指す」とされていますが、完成は市場での提供開始と同じ意味ではありません。提供時期も費用も資料になく、これを待つ前提の計画は立てにくいと言えます。

※ 資料の注記では、この普及方針の対象は医科診療所と病院で、歯科医療機関については「本年度から検討を行い2026年度中に具体的な対応方針を決定する」とされています。

立場別に「いま動くか、待つか」を整理したい場合は電子カルテ義務化の実像をご覧ください。

電子カルテを比較する →

いつ何が決まるのか

今回の資料で新たに具体化されたのは、認証制度要綱を2026年9月に公開し、Ver1.0認証製品の提供開始を2027年4月に目指すという日程です。資料の大半は2026年3月12日の資料の再掲で、「2026年6月に制度が決まった」わけではありません。

時期 何が予定されているか 確定度
2026年9月 標準仕様の認証制度要綱を公開 たたき台として記載
2026年10〜12月 ガバメントクラウドの事前相談、Ver1.0の申請受付 図中の配置
2027年1〜3月 Ver1.0の審査 「R8年度冬頃を想定」と記載
2027年4月 Ver1.0認証製品の提供開始。有効期間も同時期から 目指すと記載
2027年6月末 ISMAP/ISMS認証はVer1.0の審査のみ猶予。それまでは推奨項目扱い たたき台として記載

標準仕様は年次更新が予定され、資料には「【ver.n】の認証有効期間経過後は、【ver.n】の認証はその効力を失う」と注記されています。認証は一度取れば永続するものではありません。次のバージョンでも認証を維持する方針かは、選定時の質問に加えてよい論点です。

次の更新でベンダーに聞く3つの質問

認証制度に関して追加で聞くのは、価格公開ページ・カスタマイズの引き継ぎ・データの保管国の3つで足ります。標準仕様への対応方針や情報連携の可否といった基本の7項目は電子カルテ義務化の実像に整理済みです。

  • 価格を公開しているページのURLオプション機能の価格まで含まれているか。本体価格だけなら追加費用の一覧を別途もらう
  • 現行のカスタマイズをどう引き継ぐか独自帳票やテンプレートを移す作業は誰が行い、費用は誰が負担するか。移せないものは一覧で出してもらう
  • データの保管国とバックアップ構成保管先は国内か、バックアップは隔離された別環境か外部メディアか、復旧手順はどうなっているか

カルテとレセコンを別製品で使う院は、両方の更新時期がずれていないかも見ておきましょう。機能要件にクラウド型レセコンとの接続が含まれるためです。レセコンの一覧で掲載状況を確認し、同じ前提で見積りを取るのが確実です。

電子カルテの候補を絞る →

よくある質問

認証を受けていない電子カルテを使い続けたらどうなりますか?

2026年7月時点の公表資料に、医療機関への義務や不利益は示されていません。認証の対象はベンダーの製品で、申請や届出を行う仕組みもなく、現行のカルテを使い続けられないとする記載もありません。

いまカスタマイズしているカルテは、認証された製品に移せますか?

資料からは判断できません。要件は「個々のカスタマイズに対応不可能な仕様とすること」で、これは製品側の仕様要件です。既存のカスタマイズを移行できるかの記載はありません。なおデータ本体については、オンプレ型からの移行を効率化する「共通データ移行レイアウト例」を参考として示すとされています。独自帳票やテンプレートは一覧化し、1件ずつ確認する形になります。

認証を受けた製品なら補助金が出るのですか?

この資料からは断定できません。スケジュール図に「医療情報化支援基金による補助」のラベルはありますが、認証と補助の紐付けや金額・補助率・対象要件は記載されていません。Web上の金額情報は別制度の可能性があるため扱いません。

まとめ

要点は3つです。第一に、認証されるのはベンダーの製品で、医療機関側の申請手続きはありません。第二に、実務に跳ね返るのはカスタマイズ不可・国内保管・価格公開の3点です。第三に、日程は2026年9月に要綱公開、2027年4月に認証製品の提供開始を目指すとされていますが、要件は「検討のたたき台」の段階です。

いま手を動かすなら、更新時期の確認とカスタマイズの棚卸しの2つで十分です。医療DX全体の優先順位はクリニック医療DXの全体設計、義務や2030年目標の位置づけは電子カルテ義務化の実像をご覧ください。

※ 出典は第33回 健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報利活用ワーキンググループ資料3「電子カルテの普及について」(厚生労働省医政局・2026年6月26日)。認証制度の記載はいずれも「検討のたたき台」と明記されています(最終確認:2026年7月29日)。

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