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院内掲示のウェブ掲載、猶予は2025年5月で切れている

厚生労働省が2026年6月1日から適用した通知で、院内掲示のウェブサイト掲載についての経過措置の記述が消えました。義務そのものは2025年6月1日から動いており、自ら管理するホームページを持たない医院は対象外という但書は残っています。

厚生労働省が2026年6月1日から適用した通知から、院内掲示のウェブサイト掲載に関する経過措置の記述が消えました。猶予は2025年5月31日にすでに終わっており、今回消えたのは役目を終えた一文です。自院でホームページを持つ医院には、2025年6月1日から院内掲示と同じ内容の掲載が求められています。ホームページを持っていない医院は対象外で、作る義務もありません。

消えたのは経過措置の一文だけで、義務は2025年6月から動いている

2024年3月と2026年3月の通知で共通しているのは、掲示事項を「原則として、ウェブサイトに掲載しなければならないものとすること」とし、直後に「ただし、自ら管理するホームページ等を有しない保険医療機関については、この限りではない」と置いている点です。ホームページを持たない医院を外す但書は変わっていません。

2024年3月の通知には、この2文に続いて「なお、ウェブサイトへの掲載について、令和7年5月31日までの間、経過措置を設けている。」とありました。通知全体で14か所あったこの一文が、2026年3月の通知では14か所すべてから消えました

経過措置の根拠は、療担規則を改正した省令の附則です。施行の日から2025年5月31日まで、ウェブ掲載を定めた条文を「削除」と読み替えるとしていました。このため、2024年6月1日の施行後も1年間は条文が無いのと同じ扱いとなり、ウェブ掲載が義務になったのは2025年6月1日です。

項目これまで今回(2026年6月1日適用)
ウェブサイトへの掲載義務2025年6月1日から発効済み変わっていない
通知の経過措置の記述「令和7年5月31日までの間、経過措置を設けている」が14か所14か所すべてから消えた
ホームページを持たない医院の扱い通知の但書で対象外変わっていない(但書は残っている)
院内掲示療担規則の第1項で義務変わっていない(ウェブに載せても省略できない)

対象は自院サイトを持つ医院。持っていない医院に載せる義務はない

ホームページを持っていない医院は対象外です。根拠は通知の但書で、ホームページを作れという規定はどこにもありません。

ホームページを持たない医院を対象外とする根拠は、療担規則の条文ではなく通知にあります。療担規則の条文は「保険医療機関は、原則として、前項の厚生労働大臣が定める事項をウェブサイトに掲載しなければならない」とだけ定めていて、除外を示す文言がありません。自院が対象外である根拠を院内で共有する場合は、条文だけでなく通知の但書も示す必要があります。

逆に、ウェブに載せたから院内掲示をやめてよい、という規定もありません。条文は第1項が院内掲示、第2項がウェブ掲載という並びで、通知も一貫して「掲示するとともに、原則としてウェブサイトに掲載する」と書いています。載せる先にも限定があり、中医協で厚生労働省の医療課長は「その手段としては、御指摘のございましたSNSは想定されていない」と答えています。

ただし、オンライン診療(情報通信機器を用いた診療)の施設基準は別です。初診で向精神薬を処方しないことと、オンライン診療指針の遵守を確認するチェックリストを「当該保険医療機関のウェブサイトに掲示していること」が要件で、こちらには但書がありません。オンライン診療を算定する医院は、ホームページを持っていないという理由では対象外になりません。

診療所でまず確認するのは、施設基準・明細書・保険外負担

通知が挙げる5項目のうち、診療所で中心になるのは次の3つです。入院基本料とDPC対象病院の項目は、無床の診療所には該当しません。

  • 地方厚生(支)局長への届出事項に関する事項届け出ている施設基準そのもの。診療所ではここが中心になります。自院の届出内容は、地方厚生局が公表している届出受理医療機関名簿で確認できます。
  • 明細書の発行状況に関する事項明細書を無料で発行しているかどうかなど。厚生労働省の通知に、そのまま使える掲示文の例が別紙様式として付いています。
  • 保険外負担に関する事項患者から実費をもらっている項目と金額。通知に「紙おむつ代 1枚につき〇〇円」といった掲示例がそのまま載っています。
  • 入院基本料に関する事項看護要員の対患者割合と構成という届出内容の概要。無床の診療所には該当しません。
  • DPC対象病院である旨厚生労働大臣が指定する病院の病棟などに関する事項。こちらも診療所には該当しません。

診療所では、地方厚生局の届出受理医療機関名簿と院内掲示を照らし合わせ、施設基準・明細書の発行状況・保険外負担の3項目が自院サイトにも載っているかを確認します。実費を患者からもらっている場合、掲示とウェブ掲載はその費用を取るための手続きの一部でもあります。予約システムやオンライン診療のシステム利用料を実費として徴収する場合も同じで、掲示・ウェブ掲載・文書での同意・区分した領収証がそろって初めて徴収できます。

ウェブ掲載が施設基準になっている加算は、未掲載のままでは要件を満たさない

罰金や過料の規定はありません。ただし、ウェブ掲載を施設基準に含む加算には影響します。

加算のなかには、掲示事項をウェブに載せていることが要件そのものになっているものがあります。たとえば電子的診療情報連携体制整備加算は、院内に掲示すべき3項目を挙げたうえで「原則として、ウェブサイトに掲載していること。自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではないこと。」と定めています。ホームページを持っていて載せていなければ、要件を満たしていない状態です。

満たしていないと分かった場合の扱いも通知にあります。「所要の指導の上、変更の届出を行わせるものであること。その上で、なお改善がみられない場合は、当該届出は無効となる」。無効にする前に、開設者に弁明の機会を与えるとも書かれています。

通知は、基本診療料の施設基準の届出を受理しない場合の一つとして「当該届出を行う前6か月間において(中略)掲示事項等(平成18年厚生労働省告示第107号)に違反したことがある保険医療機関である場合」を挙げています。ただし、ウェブサイトに載せていないことが、この「掲示事項等に違反した」場合に当たると示した資料は見当たりませんでした。届出不受理の規定はありますが、ウェブ未掲載との関係は分けて読む必要があります。

施設基準は毎年の自己点検の対象です。通知は「届出を行った保険医療機関は、毎年8月1日現在で施設基準の適合性を確認し、その結果について報告を行うものであること」と定めていて、2026年度の提出期限は8月31日です。ただし、2026年度の定例報告で使う無床診療所(医科)用の自己点検チェックリストには、ウェブ掲載を確認する欄はありません。

出どころは診療報酬改定ではなく、政府のアナログ規制の見直し

出発点は診療報酬改定ではなく、デジタル臨時行政調査会が決めたアナログ規制の見直しです。中医協が議題にしたのは2023年12月ですが、条項と期限は、その11か月前に政府のデジタル臨時行政調査会で決まっていました。

中医協に出された資料はこう説明しています。「令和4年12月21日のデジタル臨時行政調査会において、政府の規制のうち法律・政令・省令に関する該当条項が整理され、『デジタル原則を踏まえたアナログ規制の見直しに係る工程表』として示された。(保険医療機関等の院内掲示に係る省令の規定等が該当)」。紙を貼らせている規制を「書面掲示」という類型にまとめ、インターネットで見られる状態にすることを義務づける、という横断的な見直しの一部です。同じ資料は「令和6年6月までに必要な対応を行うこととされた」とも書いていて、施行日が2024年6月1日になった理由もここにあります。

資料の論点も「デジタル原則に基づき、医療機関等はインターネットでの閲覧等を可能な状態にすることの義務付けを求められている中で、保険医療機関等における対応についてどのように考えるか」となっていて、やるかどうかではなく、どうやるかを聞く形になっています。

ここから先は編集部の見立てです。院内でこの対応の理由を説明するとき、「患者が受診前に情報を得られるようにするため」と言いたくなります。ただ、この説明は政府の資料に出てきません。厚生労働省が挙げているのはデジタル臨調の決定への対応で、患者の便益は理由として書かれていないからです。理由を聞かれたときは「政府全体で、紙の掲示をネットでも見られるようにする見直しがあり、療担規則の掲示がその対象になった」と答えたほうが、資料と食い違いません。

まとめ

  • ウェブ掲載の義務は2025年6月1日から動いている。2026年6月適用の通知で消えたのは経過措置に触れた一文だけで、義務そのものは変わっていない
  • 対象は自ら管理するホームページを持つ医院。持っていなければ載せる義務も作る義務もない。ただしオンライン診療の施設基準はウェブサイトでの掲示が要件で、こちらには除外がない
  • 載せるのは院内掲示と同じ内容。診療所で中心になるのは、届出をしている施設基準・明細書の発行状況・保険外負担の3つ
  • 罰金の規定はないが、ウェブ掲載を要件にしている加算では要件を満たさない状態になる。施設基準は毎年8月1日現在で自己点検する対象で、2026年度の報告期限は8月31日

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