
自院サイトはどこまで書ける?医療広告ガイドライン2026年改正
医療広告ガイドラインが2026年4月1日施行で「医療広告等ガイドライン」に変わりました。院長のHPに新しい禁止事項が増えたのではなく、厚生労働省は自由診療のページを何と書けば出せるかの模範例を7ページ新規に示しています。何がどこまで書けるかを一次資料で整理します。
厚生労働省は、2026年4月1日の施行にあわせて医療広告ガイドラインの正式名称を「医療広告等ガイドライン」に改めました(令和8年3月30日最終改正。本記事も以後この名称で表記します)。ただし、院長のホームページに新しい禁止事項が増えたわけではありません。同じ日に改訂された事例解説書(第6版)で最も大きく増えたのは、自由診療のページを何と書けば出せるかという厚生労働省の改善例で、7ページが新規に作成されています。
この7ページは主に、限定解除の要件である「通常必要とされる治療等の内容」「治療期間及び回数」「標準的な費用」「主なリスク・副作用」を1項目ずつ取り上げ、要件を満たしていない表現と改善例を並べた事例集です。本記事では「自由診療のページは、4つを書けば出せる」で扱います。あわせて、何がどこまで書けるかを一次資料で整理します。
今回変わったのは3つ。禁止事項が増えたわけではない
| 変わったもの | 内容 | 院長にとっての意味 |
|---|---|---|
| ガイドラインの名称 | 「医療広告ガイドライン」→「医療広告等ガイドライン」 | 表記が変わっただけで、院内の運用を変える必要はない |
| オンライン診療受診施設 | 第4部を新設。Q&AにQ4-1・Q4-2を追加 | 対象は施設の設置者と、それを広告する医療機関。自院で診療する医院には関係しない |
| 事例解説書(第6版) | 「(28) 自由診療における限定解除」を7ページ新規作成ほか | 院長に効くのはここ |
オンライン診療受診施設は「オンライン診療を患者が受ける場所として提供する施設」の設置者が対象です。自院の診察室でオンライン診療を行う医院は、これには当たりません。ここからは自院のサイトの話です。
Q&Aも同日に改定されましたが、改訂履歴は10問について「更新(ガイドライン名称を更新)」と括弧書きしています。Q2-11の更新も、改正前のQ&Aと読み比べると「ツイッター」が「X」になっただけで本文は同じでした。内容が実質的に変わったのはQ3-22の1問だけで、これは後述します。
自由診療のページは、4つを書けば出せる
事例解説書は「自由診療は(略)原則として広告できない。しかし、広告可能事項の限定解除要件を満たし(略)広告可能事項に該当するか否かによらず広告できる」としています。「書けない」のではなく、次の4点を書けば書けるという構造で、第6版はこれを7ページかけて新規に示しました。
| 書くべきこと | 厚生労働省が示した記載例(インプラント治療) |
|---|---|
| 通常必要とされる治療等の内容 | 治療法の説明と、検査→エックス線撮影→骨の移植→手術→仮歯→最終的な歯という流れ |
| 通常必要とされる治療期間及び回数 | 治療期間 3-6ヵ月/治療回数 5-6回 |
| 標準的な費用 | 総額(1歯欠損の場合)200,000円〜300,000円(付随手術費用を除く)+内訳表 |
| 治療における主なリスク・副作用 | 治療費が高額で治療期間が比較的長い/外科処置に伴う痛み・腫れ・出血・合併症/お手入れ次第で感染/噛む感覚が自分の歯と違う など5項目 |
ただし同書自身が「以下は一例であり(略)誤認を与えない対応が必要である」と断っています。
掲載場所にも条件があり、本体は「リンクを張った先のページへ掲載したり(略)極端に小さな文字で掲載したりといった形式を採用してはならない」としています。費用とリスクを別ページにまとめてリンクするだけの作りは、文言上は認められない形式に読めます。
ビフォーアフターも同じです。本体は、術前術後の写真に「通常必要とされる治療内容、費用等(略)詳細な説明を付した場合についてはこれに当たらない」としています。認められない例は「写真やイラストのみを示し、説明が不十分なもの」。ただし限定解除の対象でない場合は広告できないとされています。
ネットパトロールが2026年2月28日時点で審査した2,092サイトの違反5,225件でも、最多は「広告が可能とされていない事項の広告」1,595件でした(分母は通報受付と能動監視で審査したサイト、年度途中の値)。
医療広告のルールを踏まえたサイト制作に対応する制作会社をみる →
SNSは、複数の投稿を合わせて要件を満たしてよい
今回のSNS関連で新規に作成されたのは「(40) 一体的かつ一覧性をもった情報提供のあり方」です(SNS・動画の章そのものは第6版より前からあります)。同書は、返信等によって一連の投稿として情報提供を行う場合も「一体的かつ一覧性をもった情報提供を行う必要がある」としています。SNSの広告は①プロフィール ②投稿 ③返信で構成され、これらの組合せで治療等の内容及び費用と主なリスク・副作用が示されていればよい、という整理です。
同時に条件も置かれています。同書は「SNS上の1つの投稿は、単独で1つの広告として取り扱われる」とし、情報が複数のSNSに分散して一つでは確認できない状態を分かりにくい例に挙げています。組み合わせてよいのは同一SNS内です。

第6版で更新された(41)の解説には「他者の投稿を引用することで、自院のサービス等の体験談を紹介している場合も違反となる」とあり、患者の投稿の引用リポストは確認が要ります。患者が自発的に書いた口コミは別記事で整理しています。
体験談は「患者等ではなく医療機関のスタッフ等が記載した体験談であっても規制の対象となる」ともされています。事例は「当院の院長である□□も実際に体験!」というスタッフブログです。これは今回の改訂で新しくなったものではありません。
値引きは書けないが「料金改定のお知らせ」なら書ける
| 書きたいこと | 不適切とされる書き方 | 一次資料が示す書き方 |
|---|---|---|
| 値下げ | 「期間限定!夏のキャンペーン」「通常価格20,000円/1ヶ月→割引価格15,000円」 | 「料金改定のお知らせ」として「〇脱毛治療 価格15,000円/1ヶ月」と改定後の価格を示す |
| メディア掲載 | 「新聞や雑誌等で紹介された旨は、広告可能な事項ではない」(本体) | 記事の内容そのものの引用は「(略)遵守した内容であれば(略)可能です」(A1-1) |
| 歯科の治療表現 | 改正前は「『歯を削らない治療』といった表現は、広告可能です」 | 現行は「削らなくても適正な医療を提供できる範囲においては広告可能です」(A3-22。今回この条件が加わった) |
事例解説書(34)は、割引前後の価格を並べる書き方を不適切とし、「料金改定のお知らせ」として改定後の価格を示す形を改善例としています。同書の別の改善例には「2021/7/30 夏季休暇について」という休診の告知を載せた「お知らせ」欄が描かれています。ただし「お知らせ」欄そのものを広告可能事項として認める記載は、本体にもQ&Aにも確認できません。書く内容も、通常の広告可能事項の枠内で判断されると整理できるにとどまります。
A2-5は「分かりやすく太字で示したり、下線を引くことは、差し支えありません」としつつ、同じ回答で「費用を前面に押し出した広告は(略)厳に慎むべき」ともしています。この文言は改正前のQ&Aにも同文で存在し、今回の新設ではありません。
今回変わっていないのに、あまり知られていない「書けること」
以下はいずれも今回の改正で新しくできるようになったものではありません。以前から書けたのに、あまり使われていないものです。
- オンライン診療を実施している旨A3-27は「広告可能です。」とだけ答えています(令和4年3月にQ&Aへ追加)。
- 特定行為研修を修了した看護師の業務内容チーム医療や医師の働き方改革を推進している旨の併記が要りますが、特定行為区分等の記載や氏名も広告して差し支えないとされています(A3-28)。
- 従業者の人数、患者数に対する配置割合職種別・診療科別も、医療従事者以外の従業員も示せます。条件は、いつの時点かを歴月単位で併記し、検証できるよう公表し、少なくとも年に1度更新すること。改正前のガイドラインと同一の記載です。
- 無料で健康相談を実施している旨A2-12は「広告可能です」。ただし費用を強調した広告は品位を損ねるものとされています。
一方、旧告示に基づく医師58団体56資格・歯科医師5団体5資格は「当分の間」広告できるとされていますが、この「当分の間」の終期は本体にもQ&Aにも記載を確認できません。本記事が年を示さないのはこのためです。
まとめ
- 名称は「医療広告等ガイドライン」に変わったが、新しい禁止事項が増えたわけではない
- 自由診療のページは治療内容/期間・回数/標準的な費用/主なリスク・副作用の4点で出せる。ただし別ページへのリンクや極端に小さな文字は認められない
- SNSはプロフィール・投稿・返信の組合せでよい。ただし1つの投稿は単独で1つの広告として扱われ、複数SNSへの分散は分かりにくい例とされる
- 実質的に条件が絞られたのはA3-22のみ。専門医の経過措置の終期は一次資料では確認できない
出典:厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」(令和8年3月30日最終改正)、同「医療広告等ガイドラインに関するQ&A」(令和8年3月30日最終改正)、同「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)」(令和8年3月30日 厚生労働省医政局総務課 事務連絡)、第7回 医療機能情報提供制度・医療広告等に関する分科会 資料2「ネットパトロール事業について(令和7年度)」(令和8年3月26日)、同「医療に関する広告が可能となった医師等の専門性に関する資格名等について」(令和5年2月17日)。新旧の比較には、改正前の「医療広告ガイドライン」および「医療広告ガイドラインに関するQ&A」(改訂履歴は平成30年10月改訂まで。Q2-5・Q2-11・Q3-22はその後、令和8年3月改定まで更新されていません)を用いました(最終確認:2026年8月21日)。