インフルエンザ予防接種の予約、前倒しに備える 流行入りは昨年より5週早い
インフルエンザ予防接種の予約は、例年より早く始まります。流行入りは第34週で昨年より5週早く、厚生労働省は高齢者の定期接種を自治体の判断で前倒しできると周知。品川区は9月24日開始に繰り上げました。自院の受付日をどう決めるかを書いています。
2026年8月28日、厚生労働省がインフルエンザの流行入りを発表しました。第34週(8月17日〜23日)の定点当たり報告数が1.11で、流行開始の目安である1.00を超えたためです。同省は「感染症法が施行された1999年以来、2009年に次いで二番目に早く」、昨年は第39週(9月22日〜28日)だったと書いています。昨年より5週早い流行入りです。
これを受けて厚労省は、65歳以上を対象とする定期接種を自治体の判断で前倒ししても法令上支障がないとして、8月31日付で自治体に周知しました(報道)。実際に東京都品川区は開始日を1週間繰り上げ、9月24日からとしています。予診票は9月18日に対象者へ発送されます。
定期接種の予約は、患者が医療機関に直接取ります。接種開始が9月下旬に動き、その前に予診票が届く自治体があるということは、インフルエンザ予防接種の予約の問い合わせが、自院の想定より早く来るということです。
ただし、患者が今シーズン実際に前倒しで予約しているかを測った公表データは見つかりませんでした。
流行入りは第34週、昨年より5週早い
いまの水準は昨年同期の5倍です。定点当たり報告数は第35週(8月24日〜30日)時点で1.76、報告数は6,543人。同じ資料に併記された昨年同期は0.35でした。母数は全国約3,000か所の定点医療機関です。
週ごとに見ると、第31週0.37、第32週0.52、第33週0.69、第34週1.11と上がってきました。昨年同期はこの間0.28〜0.31でほぼ動いていません。7月下旬(第30週)までは0.24で、昨年の0.32を下回っていました。増え始めたのは8月に入ってからです。
なお厚労省は第36週(8月31日〜9月6日)分から2026/2027シーズンとして公表します。シーズン入りを待たず、8月中に流行入りしました。第36週分は9月11日に公表予定です。
地域差は大きく、都道府県別では沖縄県が最も高い一方、1.00を下回る県もあります。全国一律に早いわけではありません。
定期接種の開始日は自治体ごとに違う。品川区は9月24日、名古屋市は10月1日
まず自院の所在自治体の開始日を見てください。前倒しは国が一律に決めたものではなく、自治体の判断だからです。
厚労省の周知は、複数の自治体から「9月から実施できないか」という問い合わせが相次いだことへの回答でした(報道)。多くの自治体は例年10月ごろに開始しています。この周知そのものは公開文書ではなくメールで伝えられたため、確認できるのは各自治体の告知です。
繰り上げた区では、接種期間は令和9年1月31日まで、自己負担は無料、接種は患者が医療機関に直接予約する形です。一方で名古屋市・東大阪市・枚方市は10月1日開始のままです。大阪市・横浜市・札幌市は、9月10日の時点で令和8年度の案内自体がまだ出ていません。
つまり同じ時期に、9月下旬から始まる自治体と、10月1日から始まる自治体と、開始日が未定の自治体が混在します。近隣の医院が9月から接種していて自院は10月から、あるいはその逆も起きます。
予防接種の予約受付日は、接種開始日より前に決める
接種開始日とは別に、予約の受付をいつから受けるかを決めて先に告知してください。予診票が9月中に届く自治体では、それが手元に届いた日から、患者は問い合わせを始めます。受付日を決めていないと、その問い合わせを口頭で個別にさばくことになります。
予約は電話とインターネットのどちらでも受け付けられます。ただインフルエンザのネット予約には、時間外に入る予約をそのまま受け付けられる、接種日と時間帯を患者側で選べる、という違いがあります。予約枠を接種日ごとに区切って公開すれば、1日に来る人数を自院で決められます。
予約の浸透度合いは公的統計にも出ています。厚労省の令和5年受療行動調査では、外来患者のうち「予約をした」人は79.4%で、平成29年の71.4%から上がりました。ただしこの調査の対象は一般病院488施設(外来の有効回答70,376件)で、診療所は含まれません。同じ調査で「診察までの待ち時間」への不満は25.5%あり、外来の項目別で最も高い項目でした。
診療所側の導入は、ホームページを持つ一般診療所・病院66,590施設を調べたミーカンパニーの集計(2024年10月時点)で、診療予約システムの利用率が21.9%とされています。
患者が予約の前に何を見ているかは当サイトの調査でも扱っています。
ワクチンの供給量は約5,190万回分、9月末までに6割超が出荷見込み
9月中に接種を始められるだけの供給量はあります。2026年8月26日の厚生科学審議会の部会資料によると、2026/27シーズンのワクチン供給量は約5,190万回分の見込みで、うち定期接種に使える製剤が約5,010万回分。近年の定期接種の実施者数は約1,965万人(令和4〜6年度平均)です。
出荷の時期も資料に書かれています。9月5週の時点で供給量の6割を超える約3,147万回分が出荷される見込みです。9月中に予約を受けて9月下旬から接種を始めることは、供給面では可能です。予約を絞る理由にはなりません。
いま予約システムを新規に入れて今季に間に合わせるのは難しい
今シーズンの対応としては、新しい仕組みを入れるより、いま使っている導線の設定を直す方が現実的です。予防接種向けの予約サービスには、今季分の受付をすでに閉じたものがあります。
予防接種予約システム「Uttaro」は、2026年5月24日付で2026年度のインフルエンザ専用プランの新規契約受付を終了したと告知しています(既存契約は継続利用可)。ワクチンの予約・在庫管理を扱う「ワクチンぷらっと」は8月3日に2026年度の取扱開始を告知していますが、新規申込みの料金は9月29日までの申込完了が条件で、9月30日以降は上がると案内されています。
今季は、既存のネット予約ページに予防接種の枠を追加する、受付開始日を院内掲示とサイトに出す、電話が集中する時間帯の人員を決める、といった範囲で組み立てる方が早く動けます。導入そのものの検討は予約システムの選び方にまとめてあります。
まとめ
- インフルエンザは第34週(8月17日〜23日)に定点当たり1.11で流行入り。昨年は第39週で、5週早い。第35週時点は1.76、昨年同期は0.35
- 厚労省は8月31日付で、高齢者の定期接種を自治体の判断で前倒しできると周知した(報道)。国が一律に決めたわけではない
- 品川区は9月24日開始・予診票9月18日発送。名古屋市・東大阪市・枚方市は10月1日開始のまま。まず自院の所在自治体の開始日を確認する
- 接種開始日とは別に、予約の受付開始日を決めて先に告知する。予約枠を接種日ごとに公開すれば1日に受け付ける人数を自院で決められる
- 供給量は約5,190万回分の見込みで、9月5週までに6割超が出荷見込み。供給を理由に予約を絞る必要はない
- 今季分の新規受付を5月に終えたサービスもある。新規導入より、いまの導線の設定変更で組む
- 厚生労働省「インフルエンザの発生状況をお知らせいたします」(2026年8月28日/令和8年第34週分)。定点当たり報告数1.11、報告数4,094、定点数は全国約3,000か所。流行入りの早さと昨年の第39週は別添に記載
- 同「インフルエンザの発生状況をお知らせいたします」(2026年9月4日/令和8年第35週分)。第35週1.76・6,543人、昨年同期0.35・1,347人、第31〜35週の推移と都道府県別を併記。第36週分は9月11日公表予定と記載
- 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 研究開発及び生産・流通部会「2026/27シーズンの季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの供給等について」(2026年8月26日/資料1)。供給量約5,190万回分、9月5週時点で約3,147万回分の出荷見込み
- 品川区「令和8年度高齢者インフルエンザ予防接種」(ページ更新日 2026年9月7日)。「予防接種開始日を1週間前倒しし、9月24日(木)からとします」と記載
- 名古屋市「高齢者インフルエンザ予防接種」・東大阪市「高齢者インフルエンザワクチン定期接種」・枚方市「高齢者などのインフルエンザ・新型コロナワクチン定期接種」。いずれも令和8年10月1日〜令和9年1月31日
- 厚生労働省「令和5(2023)年受療行動調査(確定数)の概況」。全国の一般病院488施設の外来・入院患者が対象で、診療所は対象外。有効回答103,630件(外来70,376件)、調査日は令和5年10月17日〜19日のうち病院ごとの指定日
- ミーカンパニー株式会社「診療予約システムの利用率」(2025年1月28日/PR TIMES)。ホームページを持つ一般診療所・病院66,590施設のサイト記載を独自集計、2024年10月時点
- ビープラスシステムズ株式会社「2026年度インフルエンザ専用プラン新規ご契約受付終了のお知らせ」(2026年5月24日)
- アルフレッサ株式会社「ワクチンぷらっと」。2026年度の季節性インフルエンザワクチン取扱開始の告知は2026年8月3日、新規申込みの料金適用期限は9月29日
- 報道:日本経済新聞「インフルエンザ予防接種「前倒し可能」 厚労省が自治体に周知」(2026年9月4日)、朝日新聞「インフルエンザ定期接種、前倒し実施「可能」 厚労省が自治体に周知」(2026年9月4日)。8月31日付で都道府県を通じてメールで周知されたもので、公開された事務連絡は確認できませんでした
- ※患者の予約行動が今シーズン前倒しになっているかを測った公表調査は確認できませんでした。過去5年平均との比較に使える平年値の生データも、感染症週報にはグラフの差分表示のみで数値の記載がありません(最終確認:2026年9月10日)
本記事は編集プロセスの一部で生成AIの技術を活用し、その上で医療DXガイド編集スタッフが確認・加筆・修正したうえで掲載しています。