
診療報酬改定の予約キャンセル料、対象は選定療養の届出928件のみ
予約キャンセル料の実費徴収が2026年6月1日から適用されましたが、対象は選定療養の予約診察を届け出た全国928件のみです。厚生労働省が3月の通知を訂正した経緯と、対象外の医院が確認すべき点を整理します。
2026年6月1日から、実費として患者から徴収できるサービス等の項目に、患者都合による予約キャンセルのキャンセル料が加わりました。ただし対象は、選定療養の「予約に基づく診察」(いわゆる予約料)を地方厚生局に報告・届け出ている医療機関に限られます。予約料を徴収していない一般的な予約制の医院は対象外で、これらの医院でキャンセル料を徴収できるようになったわけではありません。
届出は全国928件(令和6年8月現在/上野厚生労働大臣の会見発言)です。医科・歯科の内訳は公表資料では確認できませんが、歯科の届出はごく少数と報じられています。
根拠は「療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて」の一部改正(令和8年3月27日 保医発0327第7号)です。実費徴収が認められる項目のリストに追加され、令和8年6月1日から適用されました。診療報酬の点数が新設されたわけではありません。条項に置かれた要件は次のとおりです。
- 選定療養における予約に基づく診察の、患者都合によるキャンセルであること
- 徴収できるのは診察日の直前にキャンセルした場合に限られること
- 予約の際に費用徴収がある旨を事前に説明し、同意を得ること
なぜ「すべての予約で取れる」と受け取られたのか
厚生労働省は5月29日、訂正の通知と疑義解釈の事務連絡を発出しました。上野厚生労働大臣は同日の記者会見で「そもそも予約料を取っていない場合には、キャンセル料はもちろん取ることはできません」と述べています。あわせて訂正の理由として、通知の表記が「一般的な診療におけるキャンセル料の徴収も認められるようにも受け止められかねないものでした」と説明し、現場に混乱を生じさせたことを謝罪しました。なお、訂正前の通知の文言は現在公開されておらず、記載の有無を直接確認することはできません。
対象外の医院が確認しておくこと
届出のない医院にとって今回の改正は、使える制度ではなく、患者から尋ねられたときに正しく答えるための知識にあたります。そのうえでキャンセル料を設けたい場合は、従来どおり患者との事前合意を整えることが実務上の道になります。金額の妥当性、説明するタイミング、同意をどう記録するかの3点は、制度の有無にかかわらず、自院の運用として設計しておく必要があります。
出典:厚生労働省「「療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて」の一部改正について」(令和8年3月27日 保医発0327第7号/掲載元:令和8年度診療報酬改定。同ページ上でこのPDFは「0529訂正後」と注記されており、5月29日付の疑義解釈の事務連絡も同ページに掲載されています)、上野厚生労働大臣 記者会見概要(令和8年5月29日)。届出928件は同会見での発言(令和6年8月現在)です。訂正前の通知の文言は現在公開されておらず、限定の記載がなかったことは同会見で大臣が訂正の理由として述べた内容によります。歯科の届出件数は業界団体の発信による二次情報で、一次資料では確認できていません(最終確認:2026年8月11日)。